司法書士・行政書士
今 野 智 喜
裁判手続・内容証明・相続登記

債務整理
債務整理には、任意整理、特定調停、民事再生、自己破産の4つがあります
場合によっては、消滅時効を使って債務をなくす方法もあります。
昔から借りている場合には、利息の払いすぎでお金が戻って来る場合もございます(過払い請求)。
ここでは、任意整理、消滅時効、過払い請求について紹介します。
任意整理
任意整理とは、裁判所の手続を使わないで、債権者と交渉して あらためて支払の仕方を決めて、債権者と和解する方法です。
認定司法書士や弁護士が受任した場合、契約当初からの取引履歴を金融業者に請求し、 それを元に利息制限法の利率(15%~20%)の利率で計算し直します。約定利率との差が 10%前後ありますから、払いすぎていた利息は元金に充当していきます。 そうなれば、「約定利率請求の元金」とは違い、減った金額が元金になりますから、 楽な返済計画が立てられるわけです。
ただし、平成18年1月の最高裁判決(いわゆるグレーゾーンを実質的に否定した判決)、そして法律の改正があったため、ここ数年前から借金を始めたという方の場合は、金利がすでに利息制限法以下の契約ですので、上記のように「金利を計算し直せば、元金が減る」ということがなくなっております。
「利息をつけて支払っていく」という状態を「利息なしにしてもらう。また、月々の支払額を減らしてもらう。そうして、支払える範囲に収まる」という形になることが多いと思います。元金が減らないと難しいとなれば、個人民事再生を申し立てることを検討した方が良いでしょう。
消滅時効(いきなり以前借りた借金の請求が来たとき)
金融会社(サラ金・クレジット会社・銀行など)からお金を借り入れている場合、目安として最後に支払ってから6年以上経過していて、その間、訴訟などを起こされることもなく、借主の方から支払うという意思表示をすることもなければ、借りている方は消滅時効を主張することができる可能性が高いです(業者の貸金の消滅時効の期間は5年ですが、催告すると6ヶ月時効期間が延長するので、ここでは余裕を持って6年以上と記載しております)。
仮に貸金請求の裁判が起こされていれば、判決確定から10年で時効になります。ただし、刑事事件の時効と違い、民事事件の時効は自らが「消滅時効を使うよ」と主張しないと時効で消滅することはありません。
確実に相手に時効主張したことを残しておくために、内容証明郵便を使うことが多いです。
上記にように「時効を使うよ」と言わない限り、債権者が請求できますし、その請求に応じて少しでも払ってしまえば、消滅時効が中断して、支払った時点から新しく時効の期間がカウントされることになります。
請求書が来たけど、ずっと払ってない気がするという場合は専門家に相談した方がよいでしょう。明らかに時効とわかっていても、請求だけでなく、訴訟(裁判)をしてくる会社もありますので、慌てて相手方に連絡を取ったりしないで、専門家に相談してください。
上記は一般論ですので、債権者から来ている書類を確認しないと消滅時効になっているかどうかはわかりませんので、古い借金の請求書が来たり、古い借金の裁判を起こされたときは、すぐに専門家にご相談ください。
過払請求
過払請求とは、貸金の場合に業者の約定利率を利息制限法の利率(15%~20%)に引き直して計算した結果、利息を払いすぎていた場合、金融業者に払いすぎた利息を返還するように請求することです。
以前、多くの貸金業者や信販業者のキャッシングは25%~29.2%で融資しておりました。しかし、平成18年1月の最高裁判決において、この高い金利で取っていた利息は無効である旨の判決が出され、取りすぎた利息を返還するようになりました。
高い金利で借りていて、ずっと返済している。あるいは、高い金利の時に借りて返済し終わっているが、返済後10年以内(返済後10年で時効により返還請求できなくなります)という場合には過払いになっている可能性があります。
平成18年の判決以降、大手の会社は新規契約では法定利率内で契約するようになり、平成22年6月18日に改正出資法が施行され、その日以降の契約はすべて法定利率内での契約になっております。「10年前から借りています」という方でも法定利率内の契約がほとんどなので、最近ではほとんど相談もなくなりました。